柴犬ゴン太の成長ブログ

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イヌの進化とオオカミの歴史

犬の大きさの違いに関わる遺伝子が同定されましたが、今後は身体的違いだけでなく、さまざまな行動的な違いを生じさせる原因遗伝子が同定されていくことでしよう。アメリカでは、犬のゲノムプロジェクトで行動や情動を司る造伝子の研究が大規模に進められています。犬の行動にはいくつもの特徴が挙げられます。特にオオ力ミとの行動を比較した論文は多く、社会行動や吠え声などの違いがよく知られています。イギリスのグッドゥィル博士らはいくつかの犬種を選び、オオ力ミに似た行動がどの程度残っているかの比較を行ないました。その結果、犬種によってオオ力ミ様行動の発現が大きく異なることがわかりました。オオ力ミらしい風貌をもっているシベリアンハスキーでは、調査した攻擊性や服従行動のすべてが観察されましたが、愛玩動物としての歴史の古いキャバリア、キングチャールズスバニエルでは二つのみ認めることができました。興味深いことに、オオ力ミの発達と比較すると、オオ力ミで幼少期すぐに観察される行動は、多くの犬種で確認できましたが、オオカミでも成長しないと発現しない行動になると、犬でそのような行動を認める犬種は稀になってきました。さらに面白いことに、オオカミの行動が発現する種類数と、骨格上の変化が相関することがわかりました。つまり、オオカミの幼い行動のみを示す犬種の場合は、頭骨が幅広く吻(口先)が短くなり、幼いオオカミと似た形を示していたのです。また成熟したオオカミ様行動を示す個体はオオ力ミらしい頭骨を形成し、細長い形になっていました。このことは、犬がオオカミの性成熟過程で成長が止まり、そのまま性腺機能だけが成長した可能性、つまり犬において幼形成熟(ネオテニー)が起こっているためだと言われています。